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フィクションランド

短編の作り話を書いて読んで、文章力と読解力を磨こう!
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気が置けない親友同士の会話

投稿日時  : 2017/10/05 09:36

最新編集日時: 2017/10/05 09:36

「ユウト…俺はもうダメだ…。
 ちくしょう…この若さで死ぬとはな…」

「何言ってんだよ!ヒロキ!
 ステージ3だか4だか知らねーけど、お前は癌なんかで死ぬタマじゃねーよ!
 ましてやまだ30代だぜ、そんな若さで弱音吐いてんじゃねーよ!」

「へっ。そうか…
 親友のお前だからと思ってついつい弱気になっちまったな…」

「そうだ!
 お前に何かあったらメグミはどうするんだ!?
 メグミは来年のお前との結婚を楽しみにしてたんだぞ。
 俺はお前らだからこそ祝福してるし、だからこそメグミのことを諦められたんだ。
 俺はメグミとも親友に戻れたんだ。
 それがなんだ!
 今からメグミを未亡人にする予告してどうするんだよ!」

「悪かったよ。
 でも、もしものことがあった時のことを考えて
 俺はユウトに…唯一無二の親友に頼みたいことがあるんだ。
 なぁ、それくらい良いだろ?聞いてくれよ。」

「…ああ。
 縁起でもねーし、聞きたくもないけど、ヒロキの頼みだ。
 絶対そうならないと思うけど、一応聞いといてやるよ。どうした?」

「俺に何かあったらメグミのことを頼む。
 メグミは本当にユウトを選ぶか俺を選ぶかで悩んだんだ。
 俺に何かあったらお前が俺の分までメグミを幸せにしてやってほしい。」

「…あぁ、分かったよ。
 でもそんなことにはならないように生きろよ、ヒロキ。
 お前がいないのに、メグミを幸せにできる自信なんてないからな、俺は。」

「それから、まだ頼みがある。」

「なんだ?」

「愛犬のラッキーの面倒を頼む。
 ラッキーはユウトにもなついていたから、そのまま面倒をみてやってくれないか。」

「…ああ。」

「それから、クレジットカードの停止やSNSとかも色々停止して欲しい。
 俺の家にパスワードあるから、それで解約をしていってほしいんだ。」

「…。」

「それから、賞味期限切れの卵が冷蔵庫にある。
 本当はスクランブルエッグにしたかったけど…ははは。
 もうそれも食えなそうだから、卵を処分しといてくれ。」

「…。」

「それから、ベランダに置いているサボテン。
 イヴォンヌって呼んでたんだが、イヴォンヌそろそろ水が欲しいはずだから
 イヴォンヌに水をやってくれないか。」

「…。」

「それから、実家のベッドの下にエロ本がある。
 あれ、おふくろにバレたくないから、
 こっそり俺の実家に行って処分しといてくれないか。」

「…。」

「それから、俺の携帯の中にエロい画像が大量にある。
 これも後からメグミに見られたくないから、携帯を初期化しといてくれないか。
 パスコードは4649。ヨロシクって覚えてくれ。」

「…。」

「それから」
「多いな!」

「えっ…」

「多いよ!ヒロキ!
 さすがに多いぞ!
 なんだよ!イヴォンヌって!」

「いや、だから…」

「知らねーよ。
 お前今のうちにできることあるだろ!?全部俺にやらせるなよ!」

「だって、俺…」

「ああ!そうだよ!
 お前は身体も不自由だ。癌なのに歩くこともできない…。

 それにしても、こんなことあるか!?
 癌で闘病中に階段から落ちて両足複雑骨折って!!
 入り組んでるだよ!症状が!!」

「だからこそユウトに頼んでるんじゃないか!」

「じゃあさ、今からメグミとおふくろさんも呼ぼう!
 …で、それぞれに依頼していけば良いじゃないか!」

「いやだよ!頼みづれーよ!」

「俺だって面倒くせーよ!
 メグミとラッキーだけならともかく、
 イヴォンヌなんて聞いたことねーよ。
 卵とか…
 しかもお前どんだけ色々なおかずのこと気にしてんだよ!
 このままだと癌の進行を待たずに
 俺がお前を殺っちゃいそうなんだよ!!」

「じゃあ、どうすれば良いんだよ!?」

「ぅぅう…分かったよ!!
 じゃあ、俺ができそうなのは俺がやる。
 他にメグミやおふくろさんに出来そうなのは俺からお願いしておく!」

「いや、メグミやおふくろに頼めることなんて無いだろ…」

「イヴォンヌとかあるだろー!!
 …とにかく、改めてひとつずつ聞くわ。

 まず1番お前にとって頼みたいことはなんだ?
 メグミだろ?メグミなんだろ?

 まぁでも、とにかくまず1つだけ言ってみろ」

「ベッドの下の…」

「エロ本かぃ!!!」

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