とある就職面接。
森本製菓の一次面接に挑んだ田所メイと面接官のやりとり。
コンコンコン・・・
メイ
「失礼します!はじめまして。
国際平成大学 経済学部 経済学科より参りました。田所メイと申します。
よろしくお願いします。」
面接官
「はい。どうぞお座りください。」
メイ
「失礼します。」
面接官
「では、はじめにあなたの自己紹介をお願いします。」
メイ
「はい。私は御社の・・・御社の・・・」
面接官
「どうしました?」
メイ
「ここ・・・どちらでしょうか?」
面接官
「ここは森本製菓ですよ。あなたはここの商品開発部に新卒で応募し、書類選考を経て一次面接をしていますよ。」
メイ
「あ、ありがとうございます。
ちなみに森本製菓さんではどのような商品開発に展望と課題を抱えていらっしゃるのでしょうか。」
面接官
「はい?
えー・・・っと。まぁ、いいでしょう。
当社では今まで数多くの米菓子、豆菓子を売り出し、成功してきました。
しかし、営業力の弱さから各GMS、CVSでの商品棚の奪取が乏しく頭打ちになっているのも事実です。
そこで当社では、今後営業力を全国規模で一層強化するとともに、
話題性の見込める商品開発を行っていくことで
飛躍的に知名度を躍進させ、米菓子/豆菓子の世界進出をも目論んでいます。
さらに、日本ならではの米菓子/豆菓子の世界認知度向上によって、日本そのもののブランド資産を増加させ
CSR―いわゆる社会的責任においても当社のミッションを達成させようと考えています。」
メイ
「はぁ・・・」
面接官
「どうですか?田所さんはそんな当社のビジョンに賛同できますか?
どんな部分で頑張ってただけそうですか?
難しいですか?」
メイ
「そうですねぇ・・・
世界進出と日本のお菓子作りにおける品質、そしてそこから得る日本国民と森本製菓さんのメリット。
ここに欠かせないのは、米や豆という原材料になりますが、この米と豆はどこから仕入れているのでしょうか。
日本の農家を見直し、そこに根付いた商品開発、コスト勝負にならない健康とおいしさを目指すことで
食においてもクールジャパン・・・いえ、食べ得るということで、“食得るジャパン”として
もう一度品質を出どころから見直すべきではないでしょうか。
農家の方々の顔を出すとか、そんな押しつけがましい手法ではなく、
農家の方々さえも「食得る」日本の米菓子/豆菓子をしっかりと根底から見直すべきではないでしょうか。
話題性の見込める商品開発?それは最後の最後に考える枝葉の手段であって、戦略とは呼べません。
せっかくのビジョンも急に稚拙に感じてしまいます。
そもそも・・・えーっと・・・あなた・・・」
面接官
「あ、私の名前は林です。」
メイ
「林さん。
そのあたりについてはどうお考えでしょうか?
いえ・・・せっかくですので、まずはじめにあなたの自己紹介をお願いします。」
面接官
「あ、はい。
東慶大学 商学部 商学科を卒業。2000年にここ、森本製菓に入社しました。
私は大学時代に打ち込んだラグビーで培った忍耐力、体力、チームプレイを武器に
“協調性と向上心”をモットーとしながら森本製菓で営業本部に入社しました。
35歳を過ぎた頃に人事部へ異動。“協調性と向上心”、チームプレイを意識した人材発掘を目指し
日々こうして採用活動、社員のメンタルヘルス、労基に則した建設的管理に努めています。」
メイ
「そうですか。よく分かりました。ありがとうございます。
ちなみに林さんは、これからの製菓、お菓子事業に問われるミッションとは何だと思われますか?
大手製菓では既にCSRを謳っていながらも、あくまでエンドユーザーには
商品単体の付加価値でブランディングしています。安心安全を考えた時、企業名や規模感、認知度
は非常に大きな助けになりますが、冒頭であなたが仰った森本製菓としてのブランディングというのは
他の企業が考える意識とは少しズレている印象を受けますが・・・」
面接官
「はい。当社はリーダー戦略でもチャレンジャー戦略でもなく、フォロワー戦略でもありません。
当社では米菓子/豆菓子という事業領域によってニッチャー戦略を取ろうとしています。
だからこそ商品単体のブランド資産を形成するよりも“森本の○○”といった形で・・・」
メイ
「その戦略も大手米菓子メーカーが打ち出しているように窺えます。既に食の領域においては
ニッチャー等と言う市場は存在せず、リーダーとフォロワーしか存在しえないように感じます。
むしろその考え方が流通における棚取りの貧困を招いているのではないでしょうか。
いや、林さんでは話になりません。本日はもう結構です。ありがとうございました。」
面接官
「ありがとうございました。では、失礼します。
・・・って、なんでやねん!」
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