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フィクションランド

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錦糸町にて(前編)

投稿日時  : 2017/10/20 20:05

最新編集日時: 2017/10/20 20:05

俺が若い頃、錦糸町の南口にはWINSもあって、キャバクラもスナックもあって、もっと奥に行くとラブホが並んでいて…
当時はかなり治安が悪かった。今でもそれらはあるだろうが、おそらく今と当時では治安も違うだろう。

当時は紫色したスーツの人が歩いていても誰も気にしないような街だった。
朝になるとどこかの構成員たちが朝礼をしている場面に出くわすこともあった。

俺はカタギではあったが、身内にも構成員がいたので極道は身近に感じることが多かった。
彼らは何よりも面子を気にしなければならない。だからナメられたことをされれば、相応の返し方をしなければならない。
でも、それさえなければ普段はとても良い人間ばかり。とてもシンプルで極めて人間的な性質だった。

そんな人間たちに囲まれて生きてきたせいだろうか、俺も似たような性格になってしまった。

例えば、歩いていて後ろの人に靴のかかと部分を踏まれてしまったりする。
俺はつい「おっと」と言いながら後ろを振り返るが、踏んだ本人は知らん顔。
むしろ「俺って、そういうヤツだから」と開き直らんばかりの面構えだ。

そういう時は俺もついつい、カッとなってしまう。「痛いんだけど…。転げそうになったんだけど…。」と言う。
しかし、相手はもう「俺ってそういうヤツ」モードに入っているせいか、「ぁあ?」なんて言ってきたりする。
そういう時は俺だってさすがに舐められたと思い、記憶を無くすほどキレる。

 

そんな俺が体験したある時の話をしよう。


<後編に続く>

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