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フィクションランド

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先輩の武勇伝

投稿日時  : 2017/09/11 12:32

最新編集日時: 2017/09/13 17:53

僕には会社で仲の良い先輩がいる。
先輩と言っても僕より10コ以上年上で、しかも所属部署も違う。

僕は営業部。先輩は進行管理部だ。
では、その先輩は何をしているのかというと、原稿や販促物をお客様や下請け会社に届ける―いわば社内専用配達部隊だ。
うちの会社くらい大きくなると、こういったルーチン配達も自社で社員を抱えたほうが効率的というわけだ。
 

先輩は朝9:00から午前中に回る各取引先に車で出掛け、
帰社後、午後14:00にまた車で出掛ける。だから僕は先輩と会話する機会がない。
会社の廊下ですれ違った時に挨拶する程度だ。

でも、呑み会等で一緒になる際は、よく話す。先輩は地方出身だが、そこはヤンキーが多く
先輩も暴走族上がりで、かなりやんちゃな学生時代を過ごしていたそうだ。
なので、人柄はとにかく熱いけど、さっぱりした性格で、軽く一言二言話すだけでも
とても気持ちが良い。僕はすぐに先輩のファンになったというわけだ。

たまに業務連絡で先輩とやりとりするケースがある。
僕が急ぎでお客様に届けなければならない書類があった時、先輩の携帯に電話し

「●●社にお届けしたい書類があるのですが、いつ頃動けそうですか?」

「あぁ、それならちょうど今日の午後に近くまで行くから14:00までに専用BOXに
 書類を置いておいてくれれば16:00頃には届けるよ」

「ありがとうございます!」

こんな会話を行う感じだ。

 

 

さて、つい先日も僕が急ぎでお客様に届けなければならない書類があって、先輩に電話した。
今回はその時の出来事を紹介したい。

「あ、お疲れ様です。第2営業部の高橋です。今大丈夫でしょうか?」

「おー。はいはい。車を停めてあるから大丈夫だよ。」

「あの、また至急でお願いしたいのですが、●●商事宛への急ぎの書類がございまして」

「はぁ!?なんだよ…」

「あ、本当にすみません。」

先輩は怒っていた。急ぎでお願いするのがやはり良くなかったのか。
まぁ先輩の業務ペースを崩してしまうわけだから良いわけがない…。

もしかしたら午後に間に合わせてくれるかもと思った僕が軽率だったかもしれない。
お願いの電話を午前中の10時からしてしまったので、
先輩のご機嫌を損ねてしまったのではないか、と反省した。
 

「すみません、もし可能でしたらと思ったのですが…」

「あぁ!?そっちがぶつかってきたんだろ!!!」
 

…様子がおかしい…。先輩は続ける。
 

「分かったよ、降りてやるよ。舐めてんじゃねーぞ、コラ」

「あ、高橋?ごめん。折り返すわ…。」
 

ガチャっと電話が切れた…。

 

お昼頃、先輩は会社に帰ってきた。
頬に青あざを蓄えて…。

 
僕は先輩に何も聞けず、改めて翌日の配達依頼としてご相談した…。

 

ちなみにこの話や出来事は今でも私だけでとどめている。

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