僕はいつも2択で間違える。
例えば、信号。
横断歩道で信号の青が点滅し、赤になりかけると思って走ると信号手前で赤になってしまった。
結局走った分の意味がなかった。素直に待てば良かったと後悔した。
例えば、電車。
座っている僕の目の前におばあさんが立ったので、席を譲ろうか悩む。
そして思い切って立ち上がると、同時に他の人が立ち上がって、先におばあさんに席を譲ってしまった。
悩む前にすぐに立ち上がれば良かったと後悔した。
例えば、長距離運転。
高速道路を使おうか下で行こうか悩み、カーナビ等でもいろいろ調べた結果、高速を選ぶと、大渋滞で1km進むのに1時間かかるハメに。
下で行った方が圧倒的に早い時間に着いたと後悔した。
例えば、洗濯機。
そのお店で人気No.1の洗濯機を買おうか、自分で元々欲しかった洗濯機を買おうか
土壇場で悩み、結果人気No.1の洗濯機を買ったら、1週間で壊れた。
そのまま元々欲しかった洗濯機にしておけば良かったと後悔した。
例えば、公衆トイレ。
レストランに設備されたトイレの個室2つのどちらを使うか悩み、奥の方の個室に入ったらトイレットペーパーが切れてた。
誰もいないのを確認して、トイレットペーパーを取りに、もう1つの個室までパンツを履かないままガニ股で行った。
最初の段階で、パッとそのまま手前の個室に入れば良かったと後悔した。
例えば、中華料理屋。
メニューにあるラーメンにしようかチャーハンにしようか悩み、僕はラーメン、友人はチャーハンを頼んだ。
その結果、友人のチャーハンは激ウマ、僕のラーメンは激マズだった。
せめて友人と同じにしておけば、不平等な感覚に襲われることは無かったと後悔した。
どちらが良いか悩んだ末に僕が選んだ道はいつも険しい。
もしかしたら、どっちにしようか悩んだ時点で、僕はいつも失敗する運命なのかもしれない。
そして、ついにこんなことが起きた。
ずっと「いいなぁ」と思っていた会社の先輩女性からデートに誘われた。
僕より7つ年上の先輩。
先輩は仕事もデキる上、料理も出来るらしい。
いわゆるキャリアウーマンなのだが、家庭的で安心できる。
でも僕より7つ年上。
7つくらいなら別に年の差を感じないのではないかとも思うが、
僕が28歳だから先輩の年齢を考えたら、結婚を前提にすべきではないかと…
妙に責任感を感じる。
その上、遠回しに告白もされた。
一方で、同時期に23歳の女の子からもデートに誘われた。
以前合コンで知り合った時「いいなぁ」と思っていた子。
確か短大を卒業後、花屋でアルバイトをしているとのこと。
僕は合コン時から気になっていて、連絡先交換もした。
でも、その後僕から連絡することもなく…。
2週間経過して、逆に彼女の方から連絡が来た。
女性側から連絡が来るということは…色々考えた末に
勇気を出して連絡してきてくれたに違いない。
それだけでも健気な印象を受ける。
何度かデートを重ね、やはり告白を受けた。
付き合ってほしいと。
さぁ、ついにきた。大事な2択。
ここは本当に今後の人生を左右する局面だ。
今まで僕はいつも選択を誤ってきた。
でもここは絶対に間違えたくない。
覚悟を決めて7つ年上の先輩とお付き合いをするか―。
まだ若い5つ年下の女の子とお付き合いをするか―。
7つ年上の先輩とお付き合いを始めたらどうなるだろう。
お互い社内恋愛が続くのか。
恐らく所得は先輩の方が上だ。
結婚を考えたら先輩は会社を辞めるのだろうか。
僕が辞めたいくらいだが、そういうわけにもいかないだろう。
いずれにしても安定的な将来は感じられる。
でも、そうなったらこれから浮気も出来ないし
もし何か起きたら怖そうだ…。
では、23歳の女の子とお付き合いを始めたらどうだ。
あの子はまだ若い。
見た目めちゃくちゃ可愛いけど、生活感というか…すぐに結婚とかは考えにくい。
「将来」というより、「恋愛」とか「彼女」とかの概念に過ぎない感じだ。
デートを重ね、色々なところに一緒に行ったり、時には気持ちをぶつけたり…
「好き」という気持ちがなければ面倒だと思うことばかりだろう。
…悩む。
いつも2択で間違える僕は、よく考えた末、23歳の子を選んだ。
23歳の子であれば、お付き合いをしていく中で後悔しても、お互いやり直せる。
しかし先輩だと、お付き合いをしていく中で後悔しても、やり直せないのではないかと思ったからだ。
今の僕が先輩の幸・不幸を決定するには、覚悟が足りないと思ったからだ。
結果、お付き合いを始めた23歳の子とは生活と性格のすれ違いによって半年で別れた。
そして先輩は別の男性とお付き合いをし、先日社内で寿退職の発表があった。
発表時の先輩はとても美しく、穏やかな表情をしていたのが印象的だった。
僕はいつも2択で間違える。
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