小学校の頃、同級生だった男の子 Y君の話。
田舎なこともあり同級生は1クラス20人程度しかいない小さな小学校。
Y君はとにかくやんちゃで怖いもの無しのガキ大将だった。
イタズラが好きで、よく先生に叱られていた。
20人全員同じ中学校に入学したが、そこは1学年で7クラス、200人近くの生徒がいるマンモス学校。
入学してY君と同じクラスになったが、彼は入学してすぐに柄の悪いグループ、
俗にいう不良グループの一員になっていた。
授業を受けずに、廊下を走り回ることは日常茶飯事、
教室の窓からトイレットペッパーを投げたり、
学校の裏で喫煙をしたり、
先生にタメ口で刃向かったり。
気にくわないことがあると、大声で罵声を上げていた。
校則違反の蛍光ピンクのベルトを締めたダボダボのズボンを引きずり、
顎を上げながら校内を練り歩くY君。
私は廊下ですれ違うのも怖かった。
200人以上いる学年の中で最も素行の悪い注意人物としてY君はすぐに有名になった。
学年が上がり、進学先を考え始める時期になっても、Y君の悪い素行は変わらなかった。
卒業間近になったある日、小学校の同級生の男友達の1人から、
Y君含む集団のグループから男子トイレでリンチに合ったという話を聞いた。
顔に痣をつくった友人を見て、私は心の底からショックを受けた。
『なぜ他人まで傷つけるのだろう。人の気持ちを考えたことはあるのだろうか。』
同級生であったY君に人として失望していた。
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Y君は定時性の高校に進学した。
その後、万引きを犯して少年院に入ったと人伝いに聞いたのは、
私が高校に入学し、半年も経たないことだった。
—
それから10年の間、彼の話や噂は全く聞かなくなっていた。
私は25歳、アラサー目前になりLINEが流行し始めた頃だった。
母校の小学校が少子化の影響を受けて廃校となると母から知らせが来た。
その年のお盆の直前、LINEで『○○小学校』というグループの招集がかかった。
その招集を行った張本人がY君だった。
『母校が廃校になりさみしいですが、久しぶりにみんなで集まりませんか。
私が幹事をするので、場所は〇〇(大きな個室居酒屋)でどうでしょうか。』
私はY君からの招集に驚いて目を丸くした。
彼がいったいなぜ・・・?
Y君と会う・・・というより見るのは、中学校の卒業式振りだった。(彼は成人式には参加していなかった)
久しぶりに会うY君は、身だしなみも綺麗に整えて清潔感があり、中学の頃とは別人のように見えた。
飲み会中も、率先して周りに話題を振り、お酌から料理の注文まで、誰よりも気配りができていた。
私は遠くの席から、申し分のない幹事を行ってくれているY君を見ていた、
どう考えても以前のY君と同一人物とは信じられなかった。
彼は今、シャッター街になっている地元の駅前で、復興に少しでも力になろうと
小さなバーを経営しているらしい。素晴らしいと思った。
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明るく、優しく笑う彼を見て私は『大人になると変わるのか』と考えた。
実は裏の顔があり、不機嫌なことがあれば以前のように暴れて
怖い形相になるのではという疑問も消え切らなかった。
子供の頃、不良であっても更生できるのか。
いや、彼は今失った信頼を取り戻そうとしているのかもしれない。
そもそも、「聖人」と言われていたような人が犯罪を犯すこともあるのではないか。
考えるほど、人を信じることが怖くなってしまう・・・
私が疑心暗鬼すぎるのでしょうか?
今が良ければ、明るい未来に向かっていれば安心できるのでしょうか?
部外者の私が「許す」「許さない」を決めるべきではないと思いますし、
受け入れるのも勝手かもしれませんが、どちらの考えが正しいか私にはわかりません。
あなたは彼のような人を心から受け入れることができますか?
みんなの感想(2件)
2017/10/14 15:53
私なら本人に聞きます。「あれ?そんなんじゃなかったはずなのにどうしたの?」と。
事実の繋ぎ合わせだけで人の性格は分かりませんからねw
2017/10/14 19:50
コメントありがとうございます。
彼に過去の話題を振ることさえ怖いと思ってしまいますが、
そのままでは彼のことも、きっかけも分からない仕舞いで終わってしまいますものね。
貴重なご意見ありがとうございます。