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お金がなかった友人

著者:ガンさん

投稿日時  : 2017/09/04 00:07

最新編集日時: 2017/09/07 10:57

地元の駅をフラフラ歩いていると、高校時代の友人であるマサシから「久しぶりに合わないか?」と言うLINEがきた。
どうやら、先ほど俺を駅前で見かけたらしい。
俺は、その時マクドナルドに入っていたので、「駅前のマックにいるから来て」という返事をした。

ーーーーーー

マサシの口癖は「お金がない」。
高校の時から、ずーっとお金がない、お金がない、といい。放課後、遊びに誘っても、なかなか乗ってこなかった。
たまに遊びに着いてくるときがあったとしても、「奢って」とか「お金かして」とか平気で言ってくる。
それでも、マサシはなぜか人に嫌われることがなかった。周りの友達も「まあ仕方ないか」と言う感じで、マサシに飯を食わせたり、カラオケ代を払ってあげたりしていて、俺は「なんだか要領のいいやつだな」と思っていたし、時に牛丼とかマクドナルドとかのファーストフードを奢ってあげたこともある。

マサシを「貧乏」とか「たかり魔」とか、揶揄する人もいたが、着ているものがみすぼらしいわけでもないし、食生活に困っている様子もなかった。もちろん派手な生活をしているわけでもない。

たまに学校をサボることはあったが、学校では普通に生活していたし、勉強だってできないわけではなく、期末のテストでは、中の上ぐらいの成績を毎回キープしていた。
マサシはそんなつかみどころのない奴だったから、彼が「お金がない」と言っている理由は、誰もわからなかった。

ある日、マサシは急に学校を辞めた。誰にも何も言わずに学校を退学し、その後は会う機会を失って行った。
俺はマサシのことが気になったので、何名かの友人と彼の家に行ってみることにした。

彼の家は、駅裏の小さな商店街の一角に合った。
パン屋と洋菓子屋が併設されているような店構えで、昔ながらの商売を営んでいた。
そこでマサシはせっせと忙しそうに働いていた。
俺たちのことを見ると彼は、少し驚いた顔をした後、ニコッと笑い「よく来たね」と言った。

マサシになぜ学校を辞めたのかと言う話を聞くと、実家を継ぐことにした。と言うストレートな答えが返って来た。

マサシの家に寄った帰り道で俺たちは「あいつの金がなかったのは、家の経営が苦しかったからなのかな」と言う話をしていた。本人に確認したわけではないが、きっとそう言うことなんだろう。

それ以来、マサシと連絡を取ることはあっても、実際に会うことはなく高校を卒業した。
俺は地元から離れた大学に進学し、今日は久しぶりに帰って来たところだった。

ーーーーーー

マクドナルドで食事をしながら、待っていると5分ぐらいでマサシは現れた。
相変わらず飄々としていて、ニコニコしながらこちらに手を振って来たので、俺も手を振り返した。
「久しぶり、最近元気にしてる?」そう言いながら、マサシは普通にマクドナルドで注文したハンバーガーセットを手に抱えながら、俺の前の席に座った。

俺は普通に驚き、彼が持って来たトレーを指差し、「それどうしたの?」と、聞いてしまった。
マサシは照れ笑いを浮かべながら「いやいや、普通に買って来たんだよ」と回答した。
そして、「マクドナルドを食べるぐらいのお金は、、、、あるさ」と高校時代の行為を恥じるような声で言った。

俺は高校時代と同様に、今日も彼に奢るつもりでいたけど、なんだかとても彼に失礼なことを聞いてしまった気がした。

「実はさ、お金の問題はもう解決したんだ」マサシは照れ臭そうに話を続けた。「俺の家があったあの商店街のあたりは、区画整理が行われて、立ち退くことになったんだ。だから、結構お金が入って来ることになったんだ。」

「もともと、爺さんの時代から住んでた場所だから、家とか土地とかのローンはなくて、家賃もかかってない状態だったし、駅裏だけど立地は悪くなかったみたいで、ほんともう一軒、店を作れるぐらいのお金が入って来る。だから、食べるのには困ってないんだよ」そう言って、マサシは照れ臭そうに笑い。「俺は、親の後をちゃんと継ぐために大学に行こうと思うんだ。だから、今は大検の準備中。」と続けた。

俺は、マサシが連絡して来てくれたことと、今ここで会えたことをとても嬉しく思い。彼に激励の言葉を告げて別れた。

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みんなの感想(1件)

これで、マサシが奢ってくれたら良かったのにね...。

ところでガンさん、私お金ないんだけど...

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