高2の春、クラスメイトの吉田くんと付き合っていた。
付き合ったきっかけは、失恋して優しさに負けたよくあるパターンだ。
クラスのみんなは男女で仲が良く、放課後にみんなで遊びに行ったりもしていた。ひょんなことから喧嘩をしてそのまま別れてしまった。今では思い出せないので、それくらい些細なことだったのだと思う。
それから仲良かったグループはなんだか気まずくなって、男女で遊ぶことも減っていった。
そのまま高校3年生になりクラス替えがあるはずだった。しかし何故かほとんどメンバーは変わらず、9割方同じメンバーでの新たな1年間が始まった。
夏が明けると毎年体育祭の練習が始まる。高3は恒例でフォークダンスがあった。その時期の体育の授業はフォークダンスや体育祭関連の練習をしていた。
そしてやってきた体育祭当日、担任からサプライズがあった。
「みんな嫌がると思って練習でも言わなかったが、フォークダンスが始まる時の入場は男女で手を繋いで入場してもらいまーす!」
ブーイングの嵐だった。高校生にもなって手を繋いで入場なんて…。
ふと思った、まかり間違って吉田くんとペアになってしまったらクラス中どころから学年中の笑い物だと。
しかし悪い予感は当たるものだ。
出席番号順に並んだら絶対にペアになるはずはないのに、なせがペアになってしまった。
約1年ぶりに会話をしたどころか手を繋いで入場することになってしまった。恥ずかしさや色んな気持ちが混じって頭が真っ白になり、そこからは何も覚えていない。なぜかみんながニヤニヤしていたのだけは今でも覚えている。
そんなことも忘れるほど月日が経ってフォークダンスから10年目の夏。
「そんなこももあったね。懐かしいね。担任の先生に感謝だね。」
今年の夏、苗字は吉田に変わった。
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