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フィクションランド

短編の作り話を書いて読んで、文章力と読解力を磨こう!
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2人の女性社員に挟まれて…秋。

投稿日時  : 2017/09/28 20:09

最新編集日時: 2017/09/28 20:09

僕は会社で主任の立場。
少人数ながら4人のチームをマネジメントする役目もある。
まぁ…マネジメントとは言ってもマネージャーという訳でもなく、プレイヤーのままだ。

その4人のチームの中で、先日こんなことがあった。

 

チーム内でも仲の良いA美さんとB子さんがどうやら仕事で上手くいかないようだ。

いつもはA美さんが業務を管理し、B子さんに細かい指示や依頼を出す。
指示を受けたB子さんはA美さんに業務結果を報告し、
その後A美さんは自分の業務と取りまとめて成果を出すという流れだ。

だからA美さんにとってB子さんはなくてはならない存在であり、
B子さんにとってもA美さんの存在は大きい。
当然二人とも公私共に親しくなっていった。

 

では、なぜそんな2人が上手くいかなくなったのか。
上手くいかないというよりは、B子さんの業務効率が一方的に下がったわけなのだが…。

 

ある日、僕はA美さんに呼び出された。
内容はB子さんのことだった。

「私、2ヶ月くらい前にB子さんに彼氏が出来たことを本人から聞いていたんです。
 今すごく仲が良くて毎日が楽しいことも…。
 でも最近、B子さんの仕事のミスが多すぎるんです。。
 特に休み明けの月曜日に作業効率が落ちるんです。
 業務中もって感じで…。
 彼氏のせいとか思いたくないのですが、どうしても私はそういう邪推というか…
 気になってしまって、彼女と上手く笑顔で接せなくなってしまっているんです。」

ぉお…。なんてセンシティブな内容なんだ。

でも、こういう時こそ僕が上手く立ち回らなくてはならない。
だから僕はこう言った。

「A美さん、言ってくれてありがとう。
 でも僕からB子さんにこの件を話す場合、B子さんに新しい彼氏が出来たという
 事実を僕が知っている状況じゃないと…きっと解決は出来ないと思う。
 つまり、B子さんに彼氏が出来たことをA美さんから聞いたと言ってもいいの?」

A美さんは了承してくれた。
なので後は、こういう形で話を進め、問いただしてみることにした。

それは、僕がB子さんを見ていて仕事のミスが多いと気になっていた。
そこで、A美さんに最近のB子さんについて聞いた結果、
実はB子さんに彼氏が出来たことを知って…というストーリー展開だった。

 

そして、B子さんを呼び出して話した。

 

2時間くらい話しただろうか。
結論から言えばB子さんは図星だった。
自分でも薄々気付いていたようだが、それでも彼氏の顔が頭から離れないらしい。

なぜかB子さんはそれを泣きながら僕に話したが、
聞いている僕は呆れすぎて閉口していた。

 

大事なのはここからだ。
さて、これをどうA美さんに伝えよう…。

その通りだったと伝えればA美さんも「それ見たことか」と怒って、
B子さんとの関係はもう修復不可能になってしまうのではないか…。
でも本人も認めている通り、彼氏以外に業務効率低下の要因は無い…。

とりあえずB子さんは今後気を付けて仕事をするとは言っているが、
あの様子からすると、しばらくは仕事が円滑になる気がしない…。

 

結局、僕はA美さんに事実をそのまま伝えた。

あくまでも僕がB子さんを見ていて気になって声をかけたというテイだったので、
A美さんは気付いていないということでも問題はなかったわけだ。

しかし案の定、A美さんは怒った。
僕からB子さんのことを聞いた瞬間、怒りに震えすぎて涙を流していた…。

「…信じられない。私だって彼氏いるけど、それとこれとは別。
 なのに、そんな子供染みた人と仕事をしていたなんて…」
と、独り言のように俯きながら話していた。

唸るように低い声のA美さんを見て、僕はゾッとした。
こんなA美さんは初めてみた。
やはり仲が良かったからこそ、その反動も凄いのだろうか…。

 

 

翌日、B子さんに呼び出された。

「このままだと会社にご迷惑をおかけしてしまいますので退職します。
 今後は彼と一緒に住み、冷静に仕事を探していきます。」

なにぃー!!!
同棲してラブラブしたいだけじゃないか!?

その日はとりあえず「了解」とだけしか返せなかった。
B子さんの我がままというか、責任感の無さには本当に呆れた。

 

その翌日、今度はA美さんに呼び出された。

「彼氏に現を抜かしながら仕事が出来ちゃう私たちの業務ってなんだろう、と
 自己嫌悪になりました。頭を冷やして考えたいので、会社を辞めさせてください。」

なにぃーー!!!!
どういうこと?どういう理由!?
もともと辞めるつもりだったとしか思えないほど、取って付けたような内容だった。

 

結局2人が辞めた今になって思うこと―。
それは…もしかして、2人共そもそも会社を辞めたくて
結託してこんなストーリーを思いついたのではないか、と。

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